コロナ後遺症で障害年金はもらえる?受給条件・金額・認定事例をわかりやすく解説

この記事の監修者
社会保険労務士 野田 誠
アイビー障害年金サポート代表

障害年金請求を専門に、千葉県(船橋市・習志野市)を中心に全国オンラインでサポートしています。
精神疾患(うつ病・双極性障害・発達障害など)から身体障害まで、障害年金申請に関する相談に対応しています。

新型コロナウイルス感染症にかかった後、感染自体は治ったものの、

  • 強い倦怠感や疲労感が続いている
  • 少し動いただけで極端に疲れてしまう
  • 集中力や記憶力が低下した
  • 「ブレインフォグ」と呼ばれるような頭がぼんやりする状態が続いている
  • 息切れや呼吸困難が続いている
  • 動悸、頭痛、睡眠障害などが続いている
  • 仕事を続けることが難しくなった
  • 家事や入浴、外出などの日常生活にも支障が出ている

このような「コロナ後遺症(COVID-19罹患後症状)」に悩んでいる方もいます。

結論からいうと、コロナ後遺症によって日常生活や仕事に大きな支障が生じている場合、障害年金を受給できる可能性があります。

厚生労働省も、COVID-19の罹患後症状によって生活や仕事などに著しい制限を受ける場合などには、一定の保険料納付要件等を満たすことで障害年金の対象となることを案内しています。

ただし、単に「コロナ後遺症がある」というだけで障害年金が受給できるわけではありません。

重要なのは、どのような症状が残っているのか、その症状によって日常生活や仕事にどの程度の支障が生じているのかを、障害年金の認定基準に沿って確認することです。

この記事では、障害年金を専門に扱う社会保険労務士が、コロナ後遺症と障害年金について、受給条件、初診日、診断書、障害等級、2026年度の年金額、申請時の注意点まで分かりやすく解説します。

Contents

1. コロナ後遺症で障害年金はもらえる?

コロナ後遺症でも、障害年金を受給できる可能性があります。

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状について、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、息切れ、胸痛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、動悸、睡眠障害、筋力低下など、さまざまな症状があるとしています。

そして、罹患後症状によって生活や仕事などに著しい制限が生じる場合には、一定の条件を満たすことで障害年金の対象となります。

ここで重要なのは、「コロナ後遺症という病名があるか」だけで判断されるわけではないということです。

障害年金では、病気やけがによって生じた障害の状態が、日常生活や仕事にどのような影響を与えているのかが重要になります。

例えば、次のような状態は確認する価値あり

  • 強い疲労感のため、ほとんど外出できない
  • 家事を継続して行うことが難しい
  • 入浴や着替えなどに時間がかかる
  • 食事の準備ができない
  • 集中力が続かず仕事でミスが増えた
  • 長時間勤務ができなくなった
  • 仕事を休むことが増えた
  • 以前できていた仕事ができなくなった
  • 短時間勤務や仕事内容の変更が必要になった
  • 息切れのため、歩行や階段の昇降が難しい
  • 記憶力や注意力の低下によって日常生活に支障がある

もちろん、これらに該当すれば必ず障害年金が受給できるという意味ではありません。

症状の程度、日常生活への影響、就労状況、医学的な所見などを総合的に判断する必要があります。

コロナ後遺症とは?

厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症にかかった後、感染性がなくなったにもかかわらず、症状が長く続いたり、新たな症状が現れたり、いったん消失した症状が再び現れたりする状態を「罹患後症状(いわゆる後遺症)」として説明しています。

代表的な症状には、次のようなものがあります。

コロナ後遺症でみられる主な症状

症状日常生活・仕事への影響の例
疲労感・倦怠感少し動いただけで強く疲れる
集中力低下仕事のミスが増える
記憶障害約束や仕事の内容を忘れる
ブレインフォグ考えがまとまらない
息切れ歩行や階段が困難になる
動悸日常生活や仕事を続けにくい
頭痛継続的な活動が難しい
睡眠障害日中の活動に影響する
筋力低下歩行や家事が困難になる
抑うつ意欲低下や社会生活への支障が生じる

コロナ後遺症は、外見からは症状の程度が分かりにくい場合があります。

そのため、障害年金を請求する場合には、単に「疲れやすい」「集中できない」と書くのではなく、具体的に何ができなくなったのか、どの程度できないのかを整理することが重要です。

2.コロナ後遺症で障害年金を受給するための3つの条件

コロナ後遺症だから特別な障害年金制度があるわけではありません。

一般的な障害年金と同じように、主に次の要件を確認する必要があります。

  • 1.初診日の要件
  • 2.保険料の納付要件
  • 3.障害状態の要件

この3つを確認することが重要です。

1.コロナ後遺症の「初診日」はいつ?

コロナ後遺症の障害年金請求では、初診日の確認が非常に重要です。

ただし、

「新型コロナに感染した日=必ず障害年金の初診日」

とは限りません。

障害年金における初診日は、原則として、その障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を指します。

コロナ感染後にどのような経過をたどったのか、感染時の医療機関と後遺症について受診した医療機関が同じなのか、別なのかなどによって、初診日の判断が問題になる場合があります。

特に、

  • コロナ感染時には症状が軽かった
  • その後に強い倦怠感が出てきた
  • 後遺症専門外来を受診した
  • 呼吸器内科や精神科など別の医療機関を受診した
  • 複数の医療機関を受診している

といったケースでは、受診歴を時系列で整理することが大切です。

初診日によって、加入していた年金制度や保険料納付要件、障害認定日などが変わる可能性があるためです。

2.保険料の納付要件

障害年金を受給するためには、障害の状態だけではなく、原則として初診日の前日における保険料の納付状況について一定の要件を満たす必要があります。

そのため、

「コロナ後遺症が重いから障害年金をもらえる」

という単純な仕組みではありません。

請求を考えている場合は、初診日を確認したうえで、年金記録を確認することが重要です。

3.障害状態の要件

障害年金では、病名だけではなく、障害の状態が認定基準に該当するかが重要です。

例えば「強い倦怠感がある」というだけではなく、

  • 何分程度歩くと休憩が必要になるのか
  • 一日にどの程度横になっているのか
  • 入浴は一人でできるのか
  • 食事を準備できるのか
  • 買い物に行けるのか
  • 電車やバスを利用できるのか
  • 仕事を何時間続けられるのか
  • どの程度休憩が必要なのか
  • ミスや忘れ物がどの程度増えたのか

など、具体的な生活状況を整理することが重要です。

3.コロナ後遺症の障害年金に請求でよくある質問 その1

1. コロナ後遺症ではどの障害年金の診断書を使う?

コロナ後遺症では、症状が一人ひとり大きく異なるため、現在の主な障害が何なのかを確認したうえで、適切な診断書を選択する必要があります。

例えば、

  • 呼吸機能の障害が中心
  • 精神・認知機能の障害が中心
  • 肢体の機能低下が中心
  • その他の症状が中心

など、症状によって検討する診断書が異なる場合があります。

重要なのは、「コロナ後遺症だからこの診断書」と機械的に決めるのではなく、実際にどのような障害が残っているのかを確認することです。

また、複数の症状がある場合には、それぞれの障害についてどのように評価されるのかを検討する必要があります。


コロナ後遺症に関する障害年金の申請において、最も核心的な要素の一つが「診断書の選び方」です。障害年金を受給するためには、医師が記載する診断書が重要な役割を果たします。この診断書が適切であればあるほど、申請がスムーズに進む可能性が高まります。

2.コロナ後遺症で障害年金2級になる?

コロナ後遺症でも、障害の状態が障害年金2級に該当する可能性はあります。

ただし、

「コロナ後遺症なら2級」

ということではありません。

障害等級は、病名だけではなく、障害の状態や日常生活への影響などを踏まえて判断されます。

例えば、強い疲労感や認知機能の低下、呼吸機能の低下などによって、日常生活に著しい制限が生じている場合には、2級に該当する可能性があります。

一方で、症状があっても日常生活への影響が比較的小さい場合には、障害年金の等級に該当しない可能性もあります。

そのため、

「どんな症状があるか」だけではなく、「その症状によって生活がどう変わったか」

を具体的に確認することが重要です。

3.コロナ後遺症で障害年金3級になる?

障害厚生年金には1級・2級に加えて3級があります。

そのため、初診日に厚生年金に加入していた方については、障害状態によっては3級に該当する可能性があります。

一方、障害基礎年金には3級はありません。

つまり、

障害基礎年金の場合は1級または2級が対象となり、障害厚生年金の場合は1級・2級・3級が対象になります。

この違いは、コロナ後遺症で障害年金を検討する場合にも重要です。


4.2026年度の障害年金はいくら?

2026年度(令和8年度)の障害基礎年金の年金額は次のとおりです。

等級年金額
障害基礎年金1級1,059,125円
障害基礎年金2級847,300円

※このほか、要件を満たす場合には子の加算があります。

障害厚生年金の場合は、これに報酬比例部分などが加算される仕組みです。

また、障害厚生年金3級には最低保障額があります。

ただし、障害厚生年金の具体的な金額は、厚生年金への加入期間や過去の報酬などによって異なります。

そのため、

「障害厚生年金2級なら全員○万円」

というように一律ではありません。


5.コロナ後遺症で働いていても障害年金はもらえる?

「仕事をしているから障害年金はもらえないのでは?」

と考える方もいます。

しかし、働いていることだけを理由として、直ちに障害年金の対象外になるわけではありません。

重要なのは、仕事をしているという事実だけではなく、

  • どのような仕事をしているのか
  • 何時間勤務しているのか
  • 仕事中にどの程度休憩しているのか
  • 周囲からどのような配慮を受けているのか
  • 以前と比べて仕事の内容がどう変わったのか
  • ミスや欠勤、遅刻がどの程度あるのか
  • 症状によってどの程度の制限を受けているのか

などを含めて、障害の状態を確認することです。

特にコロナ後遺症では、

「何とか仕事には行っているけれど、帰宅すると何もできない」

「勤務時間を短縮している」

「休憩を頻繁に取らないと仕事を続けられない」

「以前の仕事ができず、仕事内容を大幅に変更している」

といったケースも考えられます。

このような事情がある場合には、具体的な状況を整理しておくことが大切です。


4.コロナ後遺症の障害年金申請で重要なポイント

ポイント1 症状を具体的に記録する

「疲れやすい」

「頭がぼんやりする」

だけでは、障害の程度が伝わりにくいことがあります。

例えば、

10分程度歩くと強い疲労感が出て、休憩しなければ歩き続けることができない。

仕事中に集中力が続かず、以前は問題なくできていた確認作業で何度もミスをするようになった。

入浴後に強い疲労感が出るため、入浴するだけでも大きな負担になっている。

など、**「症状→具体的な行動への影響」**まで整理すると、状態が伝わりやすくなります。


ポイント2 日常生活の状況を整理する

障害年金では、仕事だけではなく日常生活の状況も重要です。

例えば次の項目について整理してみましょう。

  • 食事
  • 掃除
  • 洗濯
  • 買い物
  • 入浴
  • 着替え
  • 金銭管理
  • 通院
  • 外出
  • 公共交通機関の利用
  • 他人とのコミュニケーション
  • 服薬管理
  • 睡眠

「できる・できない」だけではなく、

どのくらい時間がかかるのか
どの程度休憩が必要なのか
家族の援助が必要なのか

まで整理することがポイントです。


ポイント3 診断書の内容を確認する

障害年金では診断書が非常に重要な資料になります。

ただし、診断書を医師に書いてもらう際には、症状を誇張するのではなく、実際の状態を具体的に伝えることが大切です。

「疲れています」だけではなく、

「買い物に行くと帰宅後に数時間横にならないと回復しない」

など、実際の生活上の出来事を伝えると、医師にも状態を理解してもらいやすくなります。


コロナ後遺症の障害年金で注意したい「初診日」

コロナ後遺症の障害年金請求では、初診日の確認が特に重要になるケースがあります。

例えば、

  1. 新型コロナウイルスに感染
  2. 医療機関を受診
  3. いったん症状が改善
  4. その後、強い倦怠感や集中力低下が出現
  5. 後遺症について別の医療機関を受診
  6. 長期間にわたって治療を継続

という経過をたどっている場合です。

どの受診が障害年金上の初診日に当たるのかは、具体的な診療経過を確認する必要があります。

そのため、コロナ感染時から現在までの、

「いつ・どこの病院に・どのような症状で受診したか」

を時系列に整理しておくことをおすすめします。


5.コロナ後遺症で障害年金を請求する際の必要書類

具体的な必要書類は請求方法や個々の状況によって異なりますが、一般的には次のような書類を準備します。

  • 年金請求書
  • 診断書
  • 受診状況等証明書
  • 病歴・就労状況等申立書
  • 年金手帳・基礎年金番号が分かるもの
  • 本人確認書類
  • その他、必要に応じた添付書類

特に重要なのが、

診断書
受診状況等証明書
病歴・就労状況等申立書

です。

それぞれの書類の内容に矛盾がないように、これまでの病気の経過や生活状況を整理しておくことが大切です。


6.コロナ後遺症の障害年金請求でよくある質問 その2

Q1.コロナ後遺症だけで障害年金をもらえますか?

はい、可能性があります。

コロナ後遺症によって日常生活や仕事に著しい制限が生じ、その他の受給要件を満たしている場合には、障害年金の対象となる可能性があります。

ただし、コロナ後遺症という診断や症状があるだけで自動的に受給できるわけではありません。

厚生労働省は、罹患後症状について「一定の要件を満たせば障害年金の対象」と明記しています。


Q2.コロナ後遺症で働いていても障害年金を請求できますか?

働いていることだけを理由として、直ちに障害年金の対象外になるわけではありません。

仕事の内容、勤務時間、職場での配慮、症状による制限などを含めて障害の状態を判断する必要があります。


Q3.ブレインフォグがあれば障害年金をもらえますか?

ブレインフォグという症状だけで障害年金が決まるわけではありません。

記憶力や集中力の低下によって、仕事や日常生活にどの程度の支障が生じているのかが重要です。


Q4.コロナ後遺症の倦怠感だけでも障害年金を請求できますか?

可能性はあります。

ただし、「倦怠感がある」という事実だけではなく、その倦怠感によって日常生活や仕事にどの程度の制限が生じているのかを確認する必要があります。


Q5.コロナに感染した日が障害年金の初診日ですか?

必ずしもそうとは限りません。

障害年金における初診日は、原則として、その障害の原因となった傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。

コロナ感染から後遺症が出現するまでの経過によって判断が問題になる場合があります。


Q6.障害年金の診断書はどれを使えばいいですか?

現在の主な障害や症状によって検討する診断書が異なります。

呼吸機能の障害、精神・認知機能の障害、肢体の機能低下など、実際に残っている障害の内容を確認したうえで選択することが重要です。


Q7.障害年金はいくらもらえますか?

2026年度の障害基礎年金は、1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円です。

障害厚生年金の場合は、これに報酬比例部分などが加算される場合があります。

ただし、実際の年金額は年金制度、等級、加入期間、過去の報酬などによって異なります。


まとめ|コロナ後遺症でも障害年金を検討できます

コロナ後遺症によって、

  • 強い疲労感・倦怠感が続いている
  • 集中力や記憶力が低下している
  • ブレインフォグがある
  • 息切れや呼吸困難が続いている
  • 日常生活に大きな支障がある
  • 仕事を続けることが難しくなった
  • 仕事上の配慮や勤務時間の短縮が必要になった

という場合には、障害年金を検討できる可能性があります。

重要なのは、**「コロナ後遺症という病名があるか」だけではなく、「その症状によって実際の生活がどの程度制限されているか」**です。

また、障害年金では、

初診日
保険料納付要件
障害状態
診断書
病歴・就労状況等申立書

などを総合的に確認する必要があります。

特にコロナ後遺症は症状が多様で、外見からは障害の程度が分かりにくい場合もあります。

「コロナ後遺症で障害年金を請求できるのか分からない」

「自分の症状で何級になる可能性があるのか知りたい」

「初診日がいつになるのか分からない」

「診断書をどのように依頼すればいいのか不安」

という方は、まず現在の症状とこれまでの受診歴、仕事や日常生活への影響を整理してみることをおすすめします。

アイビー障害年金サポートでは、障害年金を専門とする社会保険労務士が、コロナ後遺症を含むさまざまな傷病について障害年金のご相談をお受けしています。

千葉県(船橋市・習志野市・千葉市・柏市をはじめ千葉全域)の方はもちろん、オンラインで全国からご相談いただけます。

コロナ後遺症による障害年金について、「自分の場合は対象になるのか」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者
社会保険労務士 野田 誠
アイビー障害年金サポート代表

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